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ビジネスメールと「悪役令嬢転生おじさん」

メールを書くのがあまり得意ではなく、とくに仕事のメールは時間がかかってしまう。

もともと私は「メールは必要な連絡事項だけを淡々と伝えればいい。感情表現はいらない」という考え方なのだが、それだとちょっと無遠慮な印象を与えるリスクもある。

実際過去に、「あなたのメールはそっけない」と言われたこともあるので…、とくに最近は、失礼がないように、冷淡に聞こえないようにと気を遣い、書いたメールを何度も読み返しては、気がつけば20〜30分経っていることもある。

つい先日もこんなことがあった。

取引先の女性が、別のメールのCc欄に誤って私のアドレスを混ぜてしまい、関係のないメールが届き始めたのである。

そこで、間違いを指摘しようとメールを送ろうとしたのだが、「どうやったら角を立てずに注意できるか」とひとしきり悩むことに…。

結果、メールの誤送信を指摘した上で、

「メールは、内容を見ずにすべて削除しますが、これ以上送受信が続かないようご注意いただけますでしょうか」と書いて送信。

しかし、しばらくしてから、ふと不安に襲われる。「ご注意いただけますでしょうか」って、なんか嫌味っぽくはないだろうかと。

そう感じたのは、数日前に「悪役令嬢転生おじさん」というアニメを見たことに一因があるのかもしれない。

このアニメは、52歳の真面目な公務員が、交通事故をきっかけに恋愛シミュレーションゲームの悪役令嬢に転生してしまうというアニメ。

悪役令嬢とは、上品な言葉遣いで主人公をいじめる気位の高いお嬢様キャラのことである。「ちょっと! 身のほどわきまえていただけます?」みたいな。

このアニメを観た後だったからか、メールの文面が悪役令嬢の言葉で再生され、「いただけます?」みたいな丁寧な表現が、かえって嫌味っぽく聞こえたのではないかと不安になる。

ご注意いただけます?と上から目線で言う悪役令嬢


うーん。「ご注意いただけますでしょうか」ではなく「ご注意ください」くらいシンプルなほうがよかったのかな…。

いや、もう少し遊びを入れて「ご注意あそばせ」とかのほうがよかったか。いや、それこそ悪役令嬢っぽいよな…。

ならもっと気さくに、「ご注意あれ!」はどうか。いや、それは悪役令嬢ではなく勘定奉行である。


白塗りの顔をした御奉行様



あぁ、もっと簡単に、ビジネスシーンに最適化したメールが書けるといいのになあ…。


ちなみにこのアニメでは、主人公のおじさんが「優雅変換(エレガントチート)」という機能を駆使しながら、転生した世界に適応していく。

「エレガントチート」とは、中年男性のセリフや所作が、いかにも上流階級っぽい表現に自動で変換される機能なのだが、このビジネス版のような機能「ビジネスチート」がメールソフトに搭載されていたら便利なのにな。

必要事項だけを淡々と書き殴ったようなメールも、「ビジネスチートボタン」を押すだけで、適切な敬語表現に一発で変換されるような機能。

最近流行りのAIなどを使って、どこかが開発してくれないものだろうか。